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音って本当に辛いですよね。

「ぼぼぼくの名前は・・・」
言葉を繰り返してしまう”連発”では、周りの人から笑われたり、真似されることもありますし、それがイジメに繋がったり。

 

「・・っ・・・・・」
全く言葉が出てこない”難発”では、自己紹介すらまとまに言えなかったり、電話に恐怖を感じることだってあります。

 

障害や病気はこの世の中にいっぱいあるけれど、その中でも“1番辛い”と当人は思います。
吃音によって死ぬ訳ではないけれど、生きていくのが辛いと思うことは多々あります。
あなたに吃音があるなら、納得してもらえますよね?

 

当記事でご紹介する小説『青い鳥』の主人公”村内”にも、吃音があります。
非常勤の国語教師”村内”と、悩める8人の学生に関するエピソードが描かれています。

8人の学生にも、それぞれ悩みがあって

  • 場面緘黙症の女の子
  • 先生をナイフで刺した男の子
  • 交通事故を起こしてしまった父親を持つ女の子
  • 知らず識らずの内にイジメに参加していた男の子
  • リズム感のない女の子
  • 協調性のない男の子
  • エレベータ式の学校に通う閉ざされた世界に疑問を抱く女の子
  • 養護施設で育った男の人

 

それぞれの悩みは、当人にとってはどんな障害や病気よりも“1番辛い”ことなのです。

 

『青い鳥』では主人公の目線で描かれているのではなく、8人の学生の目線で描かれています。
普段、僕らは吃音を抱えて生きていますが、別の障害や悩みを抱える感覚を味わうことになります。
そして重度の吃音がある村内先生と出会うのです。

 

皆、一人で悩んでいる

人が100人集まれば1人は吃音者がいると言われていますので、あなたの生活空間にも必ず同じ悩みを持った吃音者は存在します。
しかし、吃音者は吃音を隠して生活しているため、普段はあまり見かけることはありません。

 

つまり、一人一人が個人の殻に篭って悩んでいるのです。

 

これは吃音者だけではありません。
『青い鳥』に登場する8人の学生も同じ様に”1人で”苦しんでいるのです。

 

場面緘黙症の女の子は、家の中では”おしゃべり”と家族から言われるほど話す事が好きなのに、学校では言葉が出てこなくてなってしまいます。
言葉が出てこないから「助けて」もいえず、どんどん1人の殻に篭ってしまう悪循環に陥ってしまいます。

 

協調性のない男の子は、父親の死によって心を閉ざし、心の拠り所は父親から貰ったハムスターだけでした。
「どいつも、こいつも、ムカつく」と、周りの人間を遠ざけるも、それは自分で自分を遠ざける行為となっていました。

 

養護施設で育った男の子は、親からの愛情を受けずに育ち、不良となります。
本当は喧嘩の時も、盗みをする時も、怖くて怖くて仕方がなったけど、1人ぼっちになるのを恐れ、自分を騙して生活をしていました。

 

そんな8人の学生の前に、思いっきり言葉を詰まらせながら、本当に大切なことだけを教えてくれる村内が現れます。
話すことが得意じゃないから、本当に大切なことしか話さない。

 

吃音者だから本気の言葉が伝わる

 

言葉が伝われば、気持ちが伝わり、1人の殻が壊されます。
1人で悶々と悩んでも答えが出ないことでも、2人で話し合えば突破口が開けるし、何よりも心強いことなんだということが、登場人物を通じて感じることができます。

 

 

こんなヒーローも悪くない

『青い鳥』のあとがきで、作者の『重松清』さんはヒーローの定義について触れています。

 

ヒーローの定義が『憧れの存在』なら
野球少年には”イチロー”や”大谷翔平”だったり
サッカー少年には”ロナウド”や”本田圭佑”だったりと
そんな人物を連想することでしょう。

 

でもヒーローの定義が『こどもの頃に出会いたかった人』なら”村内”かなと。
ダウンタウンの松本人志さんがインタビューの時に「無人島で何か一つ持って行くとしたら?」という質問に対して『浜田かな』と答えた、ちょうどそんな感じです。

 

作者の重松清さんは、ずっと心の中に村内が居たと語っており、『青い鳥』ではそのイメージを小説化したそうです。
確かに僕の中にも、村内の様な、小さいもう一人の自分の様な、そんな存在は居て

 

うん。そんなヒーローも悪くない。

 

と、思いました。

 

 

吃音者にできること

『青い鳥』を読んでみると、一人一人に悩みがあって”苦しんでいる”のは、吃音がある自分だけではないということが分かります。
それは8人の学生の目線で描かれていることにより、実感します。

 

吃音者にとって吃音は大きな悩みで、『なんで俺だけ』と思ってしまいますが、そうじゃないんだと考えさせられます。
人の痛みが分かれば、村内先生の様に“吃音がある自分だからこそ出来ることを”と、前向きに物事を考えられるようになります。

 

元々、吃音は『感受性』か高いということもあり、言葉が上手く話せないだけで、コミュニケーション能力は高いと言われています。
また吃音者の発する言葉には、流暢に話す人の言葉よりも“おもみ”があります。
普段から溜め込んでいる内的な面、独特な間などによる外的な面からも、『普通』とは違うのだから。

 

考え方一つで、世界は180°姿を変えます。

 

それを生かすも殺すも、自分次第です。
是非、『青い鳥』を読んでみてください。

 

 

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