吃音は”どもり”とも呼ばれ、言葉がつまる症状のことを言います。
どの言語圏においても成人の1%の割合で存在し、日本には約120万人、世界には約7000万人の吃音者がいると推定されます。
吃音の原因については未だ解明されていませんが、これまでの研究によって明らかとなっている要因はいくつかあります。
吃音の改善を目指すなら病院で治療を受けることが望ましい一方で、対応可能な病院が少ないといった問題点があります。
この問題点を打開すべく、自宅で克服できるインターネットを使った改善プログラムが注目を集めています。
実際の医療現場でも活躍している有名な専門家が開発したプログラムも販売されています。
2016年に放送された月9ドラマ『ラヴソング』を始め、2018年には映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』が公開されるなど”吃音がテーマの作品“は年々増えてきています。
こうした世の中の動きによって吃音がある有名人も自身が吃音であることを公表したり、メディアで取り上げられるようになってきました。
これまで一人で悩み続けることが多かった吃音者ですが、吃音を『オープン』にすることが重要だと専門家は言います。
この啓発活動によって当事者も少しずつ変わり始めています。
吃音の当事者が集う自助グループも、少し前までは言友会しかありませんでしたが、ここ数年で様々な目的を持った自助グループが誕生しています。
吃音と『共に』歩むのか
吃音を『克服』するのか
それを『選択』することが出来る時代になってきています。
吃音の「キ」
吃音は病気なのか?障害なのか?
そんな疑問を抱く人は少なくありません。
日本では2005年に施行された発達障害者支援法の対象となっていて、障害者手帳を取得できます。
また世界保健機関(WHO)による国際疾病分類第10改訂版(ICD-10)において「通常小児期および青年期に発症する行動および情緒の障害」に分類されています。
つまり、吃音は『障害』として登録されています。
吃音の症状
吃音の症状には「おおおおはよう」の様に、言葉の初めを繰り返すだけではなく様々な症状があります。
どの様な症状があるのか見ていきましょう。
- 発話症状
-
- 繰り返し(連発)
- 引き伸ばし(伸発)
- ブロック(難発)
- 身体症状
-
- 随伴運動
- 行動(考え)
-
- 注目
- 意図的発話
- 意図的操作
- 回避
「おおおおおはよう」の様に言葉を繰り返してしまう『繰り返し』や、「おーーーーはよう」の様に言葉を伸ばしてしまう『引き伸ばし』、「・・・・・おはよう」の様に言葉が出てこない『ブロック』の他に、無理やり言葉を出そうとするあまり体が必要上に動いてしまう『随伴運動』などが表面的に表れる症状になります。
また自分が発声した言葉や体を動くを『注目』することや、「えー」とか「あのー」などを言葉の初めに付ける『助走』、話すこと自体を避ける『回避』などが行動して現れます。
吃音の進展段階
吃音の進展段階は4つに区分されています。
まずは、どの様に区分されているのかを見てみましょう。
第1層の特徴としては『本人の自覚がない』ということです。
自覚がないので当然、悩みとして捉えていません。
第2層の特徴は『ブロック(難発)』が症状として現れるという点になります。
また『本人が自覚する』ことも大きなポイントになります。
ただ悩みとしてはあまり大きく捉えておらず、自由に話します。
この時点、表面上に現れる症状が出揃います。
第3層の特徴は悩みとして大きく捉え、吃音に対する注目が高まっていきます。
『回避』以外の症状で出揃い、『助走』や『置き換え』などの吃音を抑制するための工夫を行います。
第4層の特徴としては『回避』が加わることです。
話す場面を避ける様になり、発表や当番などで人前に出なければならない日などは休むなどの行動が見られます。
悩みとして非常に強く捉える様になります。
発吃について
研究者の見解は下記の2点で一致していると言われています。
- 多語文を話し始める時期(18ヶ月)から思春期(12歳)までに生じる
- 最も生じやすいのは2~5歳の間
この特徴から単に音声を産出する際に生じるのではなく、コミュニケーションにおける音声言語の使用に関する問題であると考えられています。
自然回復について
自然回復とは、専門的な治療を受けてずに吃音が消えることです。
自然回復に関する研究は数多く存在し、その代表的なデータを紹介します。
YairiとAmbroseの研究(1999年)
84名を対象に、回復率は74%であったと報告(4年追跡)
Klothの研究(1999年)
23名を対象に、回復率は70%であったと報告(6年追跡)
Manssonの研究(2000年)
51名を対象に、回復率は71%であったと報告(2年追跡)
さらに2年追跡したところ、回復率は85%に増加したと報告
上記の研究では発吃間際の子供を対象に、治療を受けずに数年間の追跡調査を行ったデータになります。
Yairiの研究から、回復した子供の特徴を5点挙げています。
- 吃音がある親戚が1もいないか、いても全員が回復していること
- 発吃年齢が低年齢であること
- 音韻や言語スキルが高いこと
- 非言語系の知能検査の得点が高いこと
- 女児であること
この他にも、
- 発話速度がゆっくりであること
- 発話運動システムが安定していること
- 母親が非指摘的であり、子どもに話しかける際にわかりやすい言い回しであること
- 右利きであること
など、個々の研究によって様々な見解が挙げられています。
自然回復に関する研究の結論は一様ではないようですが、最も確実な要因として考えれているのは「音韻スキルが高いこと」と「女児」であることとされています。
男女比について
吃音の男女比に関する研究は1890年代に初めて実施されて以来、10年毎に発表されています。
この研究によって信頼性の高いデータが得られているとされています。
その男女比は「3:1」で男性に多いとされています。
下記に研究データをまとめました。
Yairiの研究(1983年)
2~3歳の22名を対象に、
男女比は「1:1」であったと報告
YairiとAmbroseの研究(1992年)
2~6歳の87名を対象に、
男女比は「2.1:1」であったと報告
Bloodsteinの研究(1995年)
1年生の男女比は「3:1」、
5年生の男女比は「5:1」であったと報告
Klothの研究(1999年)
発吃間際の男女比は「1:1」、
6年後には「2.5:1」であったと報告
Manssonの研究(2000年)
3歳の男女比は「1.65:1」、
2年後には「2.8:1」であったと報告
吃音の原因について
世界の吃音研究を徹底調査してみると、実はけっこう解明されている多くの成果があることを知っていますか?
吃音の原因は解明されておらず、その治療法についても確立されていないというのが一般的な常識として知られています。
しかし吃音研究は昔から多くの研究者によって進められてきました。
日本では1903年に伊澤修二が『楽石社』を創立したことをキッカケに研究が始まりました。
1999年に言葉の専門家である言語聴覚士の第1期生が誕生し、2018年には全国で約3万人の有資格者が存在しています。
アメリカの言語聴覚士協会に関しては、日本よりもかなり前に誕生しており、1925年に遡り、今では有資格者が19万人を超えるとされています。
さらに遡ると、4000年以上前の中国文明やエジプロ文明、メソポタミア文明などにも実在した証拠が残されており、あのモーゼにも吃音があったと言われています。
モーゼは自分の吃音を隠すために、兄のアロンに話しをさせていたと言われています。
これだけ歴史があり、これだけの専門家を有する分野です。
あながち、解明されている多くの成果があるという言葉にも説得力があるのではないでしょうか?
病院で治療を受ける
2000年初頭までは吃音矯正所と呼ばれる民間クリニックが流行っていました。
しかしその実態とは酷いものだったそうで、原因もメカニズムも分かっていない医院長が「自分はこれで克服した」と、とても科学的とは思えない訓練を行っていたと言います。
さらには数十万円にものぼる治療費を請求し、弱者につけ込むような商売をしていたそうです。
現代においては少しずつではあるものの、病院で治療が受けられるようになってきました。
当然、病院では医療保険が適応されます。
子どもの場合には、支払いがないこともあります(自治体による)。
また民間のクリニックにおいても、非常識な価格設定をしているところはほとんどなく、事前にかかる費用を公表しているのが一般的となりました。
安心して病院に頼って下さい。
自宅で克服できる
病院で治療ができるようになってから、まだ日が浅いこともあり対応可能な病院は限られています。
また人気のある病院には患者が集中してしまうことから予約を取ることもできない状況となっています。
東京都新宿区にある早坂吃音コミュニケーションOfficeで代表を務める早坂先生も、この問題を解決するためにインターネットを使った改善プログラムを開発した一人です。
当サイトでは話題の改善プログラムを一挙にご紹介します。
実は僕も、インターネットで販売されている吃音改善プログラムによって克服することができました。
あなたにも有効な改善プログラムが見つかるはずです。
吃音がテーマの作品
当サイトでは書籍や小説、漫画などの作品についてランキング形式でご紹介しています。
医師や言語聴覚士が書いた参考書から吃音者が主人公の小説、吃音がテーマの恋愛漫画まで色々あります。
各書籍や漫画の個別レビューもありますので、参考にしてみて下さい。
吃音がある有名人
吃音がある有名人ってご存知ですか?
意外と調べてみると面白いもので、「え?この人、吃音だったんだ!」とか妙に親近感が湧くものです。
それに超有名人ばかりなので、あながち『吃音は天才病』と言われたりする理由が分かります。
サッカー選手なら
『ハメス・ロドリゲス』がそうだったり
プロゴルファーなら
『タイガー・ウズ』がいたり
芸能人には
『マリリン・モンロー』や
『ブルース・ウィリス』など
もっと驚くのは
『徳川家康』や『アインシュタイン』にも
まだまだほんの一握りで
筆者が調べただけでも100名以上います。
吃音がある有名人を知るとすごく勇気を貰うことができるので、覗いてみてください。
自助グループ
ここ数年でもっとも変化があったのは、吃音の当事者同士が集まって親睦を深めていることだと思います。
少し前までは言友会という自助グループしかありませんでしたが、近年では続々と誕生してきています。
- 若者限定のサークル
- 音楽を通じて集う団体
- 地元の絆を繋ぐ地域特設など
全国各地で仲間が待っています。
一人で悩んで”つらい”という方は、ご自身の地域に自助グループがあるのかを調べてみることをお勧めします。
吃音がある大人の仕事事情
吃音があると働く上で大きな障害となることは痛いほどよく分かります。
ましてや、働くことさえも叶わない吃音者がいることは本当に心が痛みます。
ここでは、仕事をする上で役立つ情報を公開しています。