さすが明治大学の教授。
まるで明治大学の齋藤ゼミの一室で講義を受けているような錯覚に陥りました。
何十人もいる大講義室ではなく、個別指導で対話でもしているかのように読み進めることができます。

この一冊で読書にまつわる殆どの知識や技術が手に入ります。
「なぜ、読書が必要なのか」を偉人の言葉を引用しながら分かりやすく解説する序章にはじまり、読書を習慣化するための話し、それから読書に関する「速読」「多読」「選書」と順を追って体系的に説明してくれます。

「読書が大切だ」というのは小学生でも知っていることだけれど、「なぜ大事なのか?」「なぜテレビやインターネットではダメなのか?」を分かりやすく教えてくれます。
とても印象的だったのは、世界の天才達が「読書は有害」「多読を慎むべきである」「私は読書する怠け者を憎む」などの言葉を使って、読書という秀れたものを恐れていたことです。
誰でも天才になれてしまうことを危惧していたのです。

本書の中で、僕がとても参考になったのは「引用力」と「概念活用力」です。

日本では良い句や歌を、引用によって語り継がれてきた文化があったものの、今、その文化は失われつつあるといいます。
そもそも教養というものは、引用力そのものであると齋藤さんは言い、これは世界共通認識であるとも強調します。
特に欧米ではその傾向が強いようで、シェイクスピアを引用できない人は教養がない人だと見られ、聖書を引用できなかったら致命的なことだといいます。
人の言葉を借りて、自分の表現力を広げてくれる大きな力を齋藤さんは「引用力」と話します。
この引用力を鍛えるために、齋藤さんは本を読んだら「引用ベストスリー」を選び、引用するようにと教えてくれました。

概念活用力も魅力的な提案でした。
全体の影響関係をシステムとして捉えるシステム・シンキングの考え方より、幅広いジャンルから様々な新しい概念を手に入れることが大切であるといいます。
手に入れた新しい概念は、y=f(x)「概念変換法」によって文化を変える新たな概念が生まれます。
本を読んだことを自分の中でいかに活用するのかいつも考え続けることで、「概念活用力」を身につけることができると話します。

この2つの教えをしっかり頭に叩き込み、これからの読書に繋げていきたいと感じました。

読書は著者と読書の共鳴です。
あなたは何に魅力を感じるでしょうか?