恵まれた才能、先天的なカリスマ性。
なるべくしてミリオンセラーのヴォーカリストになったと思っていましたが、とんでもない。
「有名になって好きな女の子を振り向かせたい」そんなありきたりな理由からEXILE ATSUSHIへの扉は開かれる。
挫折や失恋などを何度も乗り越え、小さな成功をコツコツと積み上げた先に「今」があるのだということを知りました。
同じHSPがある者として共感できることがたくさんあり、考え方や生き方を参考にしたいと思える一冊です。
- 画像
- 評価
- ★★★★
- 出版社
- 幻冬舎
- 発行日
- 2013/4/30
- 購入先
- Amazon公式サイトへ
HSPが得意なこと
「文章を書くこと」とHSPは相性が良いようです。
僕は幼い頃から作文に苦手意識を持ったことがなく、高校生の頃は野球部で強制的にやらされていた野球日誌もスラスラと書くことができました。
社会人になってすぐにブログを書くようになり、はや10年が経とうとしています。
僕には吃音という言葉が詰まる体質で、会話の中であまり話す方ではありません。本当は言いたいことがあるのに、言葉が詰まってしまい気持ちを正確に伝えられなかったり、時には笑われたり・・・。
そんな自分の中にあるモヤモヤを吐き出すのに、ブログは最適なツールで、言葉がスラスラと出てくるのは吃音の副産物だと思っていました。
しかし、言葉が溢れてくる源泉にはHSPという気質による影響が大きいようにも思います。
著書『天音。』の中でATSUSHIさんは以下のように話します。
幸せなとき、あまり心に詩が浮かばない。満ち足りた心は、歌わないからだ。悩んでいたり、悲しかったり、感情的になっているときほど、詩が書ける。
たしかに辛いことがあったり、吃音という自分のネガティブな記事を書くときは、言葉がいつも以上に沸き上がってくることがあります。
そもそもHSPの人は、とても繊細であり、とても敏感な人です。
ポジティブなことは謙虚に受け取ってしまいますが、ネガティブなことは必要以上に反応してしまい、そこから思考の渦に溺れてしまいます。
「文章を書く」ということで自分の思考を体系的に整理することができるし、自分を俯瞰して見ることも、心に溜まった鬱憤も吐き出すことができる。
とても理にかなっているんです。
話が少し脱線しますが、本書『天音。』でとても共感できたことがあります。
それはライブ中にMCをするATSUSHIさんが、敬語を使う理由についてです。ライブで盛り上がっているときに「お前ら、ついてこい!」と煽るミュージシャンが大多数な中、ATSUSHIさんは「盛り上がっていきましょう」と言う。そこは敬語じゃないほうが良いのではと指摘されることもあるのだとか。
でもATSUSHIさんは、初めてライブに来た人や年上の人もいる、娘の引率で来ている親御さんだっているかもしれない。中にはEXILEのことをまったく知らない人だって来ているかもしれない。
ライブの中で1人でも不快な気持ちにさせたくないという思いと、初対面の人に「お前」はないんじゃないかといった考えから敬語を使い続けているのだと言います。
僕もブログを書く中で「です・ます調」の敬体で書くか、「だ・である調」の常体で書くかブレることがあります。
でもATSUSHIさんのMCの話を聞いて、今後は「です・ます調」の敬体で書いていきたいと感じました。
なんとなく敬体を使うのと、信念があって敬体を使うのとでは、はやり言葉の重みが違うと思うんですよね。
話を元に戻しますが、「文章を書くこと」はHSPにとって相性がいいだけではなく、心の衛生にとっても良いことだということです。
日記をつけたり、気が付いたことをメモしたり、ブログを書いてみたりしてみてはいかがでしょうか?
- 画像
- 評価
- ★★★★
- 出版社
- 幻冬舎
- 発行日
- 2013/4/30
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自分のルーツを大切にする
「ルーツ」という言葉は次作の『SIGN』で使われた言葉なのですが、ATSUSHIさんのこの概念が僕はとても共感でき、大事なことだと感じました。
格好いいか悪いかは、一生懸命にいきているかどうで決まる。自分を知り、夢を持ち、その夢を実現するために一生懸命に生きているヤツがいちばん格好いい。
まず第一に「自分を知る」ということ。
自分の短所とか失敗談とかコンプレックスとなっている部分って、あまり振り返りたいとは思えませんよね。
HSPの気質である「繊細さ」や「とても敏感」なところも、人によっては好きになれないかも知れません。
僕にも言葉が詰まる吃音という症状をはじめ、赤面症・高所恐怖症・閉所恐怖・先端恐怖症・血を見るのが苦手・きっとADHDなどなど挙げだしたらキリがないほどにコンプレックスがあります。
若い頃はこういったネガティブな部分にはフタをしてなるべく見えないようにしていました。
ブログを書くようになってから、吃音について書いたり、HSPについて書いたりしているうちに、悩んでいるのは自分だけじゃないことを知りました。
さらにいえば世の中にはもっと重度の吃音がある人がいて、もっと敏感な人もいる。
自分の抱えているコンプレックスが、とても些細なものに感じるようになりました。
またどんなことにもマイナス面があれば、プラスの面があることも同時に学びました。
ATSUSHIも以下の様に話します。
ネガティブなだけの出来事はないし、ポジティブなだけの出来事もない。良い出来事の裏には、悪いコトがある。そしてどんな悪い出来事にも、必ず良い部分がある。
あの苦悩の時期は、自分にとって、とても大切な時期だったことがよく分かる。少なくとも、あの時期を過ごさなければ、僕は絶対に今の僕ではなかった。
自分のコンプレックスに目を背けると、周りの良いところにも気付けない。
自分も、周りにも優しく気遣うことができない悪循環が起こってしまう。
一方で、
良いところも、悪いところも、意味がある。
自分のあらゆるところを受け入れる。
つまり自分のルーツを大切にすることができれば、自分のことを好きになれる。すると自然と相手にも優しくできる好循環が生まれます。
多くの成功を成し遂げてきたATSUSHIさんですが、その裏には数え切れないくらいの失敗と挫折がありました。
その失敗と挫折に目を背け、無いものとして扱っていたら「今」はないといいます。
自分のルーツを大切にすること、人生の好循環を作ること、そんなキッカケになるHSP向けのエッセイであると思います。
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- ★★★★
- 出版社
- 幻冬舎
- 発行日
- 2013/4/30
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