書籍のタイトルに添えられている言葉通り、「医者が教えるHSP対策」が数多く掲載しており、その一つ一つがエビデンスのある信頼性の高い話しばかりでした。

その内容は驚きの連続で、斬新過ぎる話しに「逆効果になるのでは?」と感じるものの、最後まで読むと考え方は180度変わり、合理的であることが分かるのです。

著者は西脇俊ニさんという精神科医の医師で、普段は発達障害の方々を専門としています。
近年では「HSP」に関する相談が増えできている中、専門とするアスペルガー症候群や自閉症スペクトラムといった患者さんとの共通点に気が付いた西脇さん。
これまでの多くの臨床により得られた、効果のある治療法をHSP患者さんにも応用することが出来ることに気がつきました。

「今日読んで、明日治る」といったものではありませんが、コツコツと続けていくと、それは「習慣」に変わり、いつしか「あれ?気にならなくなってる。」と実感できるようになります。
普段から発達障害の患者さんを専門としている西脇さんの話しは、どんな方でも理解しやすい「やさしい」文章でした。

僕がとても勉強になったのは、自分にも、相手にも「期待しない」という考え方です。
言葉のまま受け取ると、とても後向きな印象ですが「期待を捨てると前向きになれる」という、驚くべき効果を発揮します。

人は無意識のうちに、自分にも相手にも期待しているもの。
その証拠にHSPの方は繊細な自分に嫌気がさしたり、「もっと堂々としていられたら・・・」と悩んでいますよね。
また子どもが言うことを聞かなかったり、キツい言い方をする相手に「そんな言い方しなくても・・・」と感じたりしていませんか?

人は無意識の内に「男ならこうあるべき」とか「女ならこうあるべき」といった理想の人物像を自分の中に持っています。
また席を譲ったり、何か気遣いをすると「ありがとう」という言葉が帰ってくると思い込んでいます。

でも、実際には些細な事に驚いたり、傷つきやすい性格に、「ああ、なんて女々しいのだろう。」と落ち込むのは男性あるあるです。
電車で席を譲ったのに、無視をされた上に不機嫌な態度を取られてしまう経験をしてしまったら、次回以降には声をかけるべきか否かの迷走マラソンと生涯付き合っていくことになってしまいます。

期待していると、思い通りにいかない相手に「変わってくれたら」と願ってしまいます。でも相手が変わることはないから、裏切られた期待はイライラや失望に変わってしまうのです。
しかし期待を手放し、相手を変えようとするのをやめれば「どうしたらいいのだろう?」と対策を講じられるのです。

これまで目の前で起こったハプニングに、立ち止まってオロオロしていただけだったのに対し、「期待をやめる」だけで一歩先に進める”先見の明”が手に入るのです。

このような気持ち一つで変えられる話しや、コツコツと続けることで人生が変えられるテクニックなどが多数掲載されています。
HSPという悩みがなければ、出会うこともなかった一冊。
この本に出会うキッカケをくれたHSPは、実は”青い鳥”なのかもしれません。