この記事では吃音の治療に対応可能な病院や民間の施設についてご紹介します。
またメディアによく名前が出ている専門家について調べ、実績や治療方針から『名医』だと思われる方々についてもご紹介していきます。
この記事を作成するにあたり、二つの調査を行いました。
- インターネット検索
- 言語聴覚士会への聞き込み
病院が運営しているサイトの中で『吃音の治療をやっている』と記載がある場合のみ、当サイトではご紹介をしています。
また『言葉の専門家』である言語聴覚士の方々にも聞き込み調査をしています。
吃音の治療は通常、医師が行うのではなく言語聴覚士といわれる国家資格保有者が行います。
そんな言語聴覚士を取りまとめているのが言語聴覚士会ということになり、各都道府県にそれぞれ設置されています。
聞き込み調査をすると、どの言語聴覚士会も「あまり治療ができる病院はない」と口を揃えて言います。
中には1箇所も病院がない都道府県もあり、全国的に『人』と『場所』が足りていないのが現状のようです。
日本の吃音治療の歴史は、1903年に伊澤修二が『楽石社』を創立したことをキッカケに始まりました。
その後、全国で『吃音矯正所』が次々に作られていきましたが、その実態は悲惨なものだったと言われています。
『悪化』したとの声や『高額請求』など、今でも吃音治療に対して悪いイメージを抱く人は少なくありません。
現代においては、吃音治療の進歩に加え、保険が適応されます。
また民間の吃音相談室においても、非常識な価格設定はされていません。
安心して専門家に頼って下さい。
吃音とは?
吃音は100人に1人の割合で、症状がみられるといわれています。
これは日本語だけに関わらず、どの言語においても共通しており、単純計算だと全世界には約7000万人もの吃音者がいることになります。
3種類の症状
吃音には3つの症状があります。
一般的には言葉を繰り返す症状(「おおおおおはよう」など)が『どもり』として認識されていますが、言葉を伸ばしたり、発することができない症状もあります。
- 連発
- 伸発
- 難発
僕に伸発の症状はありません。
難発と連発による吃音が主な症状です。
人によって現れる症状は違います。
連発(おおおはよう)の場合には、周りの友達からは「かんだ」と言われ、笑われる事が多いです。
難発の場合には、全く声が出せないので、周りからは不思議そうな顔で見られます。
連発
初めの言葉を繰り返す症状です。
- おおおはよう
- さささようなら
- ぼぼぼくの名前は◯◯です
子供の吃音によくみられる症状です。
「あれ?うちの子どもってる?」と子供の吃音が分かる多くの場合は、連発によるものです。
子供の頃の症状としては、吃音の第2段階と言われており、本人にあまり自覚がありません。
伸発
初めの言葉を引き伸ばす症状です。
- おーーーはよう
- さーーーようなら
- ぼーーーくの名前は◯◯です
連発と同様に子供の吃音によくみられる症状です。
子供の頃の症状としては、吃音の第3段階と言われ、本人が気にし始める時期です。
難発
言葉が詰まり出てこない症状です。
- ・・・お・・、おはよう
- ・・・ささ・、さようなら
- ・・・・・
吃音の第4段階と言われ、吃音を強く意識し『悩み』となることが多いです。
また吃音の始まりである第1段階でもあり、難発で始まり、難発によって苦しみます。
その他の症状
吃音者にはそれぞれ『苦手な言葉』があります。
僕の場合には下記の言葉に、強い苦手意識がありました。
- 自分の名前
- 挨拶(おはようございます)
- 号令(おねがいします)
高校生の頃、自己紹介の時に自分の名前が言えないことがあり、本当に辛い経験をしました。
自分の名前に苦手意識を持ってしまうと、あらゆる場面において障害になります。
なんとかして、自分の名前を発しようとするあまり、身振り手振りが大きくなり、それが不自然な動きになることがあります。
これは『随伴運動』と呼ばれます。
また自分から電話をかけないなどの『回避』をするようにもなります。
発表やプレゼンの前には『動悸』や『息切れ』をするようになります。
2種類の吃音
吃音は大きく分けて2種類に分けられます。
- 発達性吃音
- 獲得性吃音
発達性吃音は、一般的に『吃音』と呼ばれているもので、原因が解明されておらず、確立した医療法もありません。
言語診療の専門家である言語聴覚士でも、吃音を熟知している人は少なく、診療ができない言語聴覚士も多くいます。
80年以上もの歴史があるアメリカの言語聴覚士が、最も難しい・苦手とするのが吃音だと言われています。
獲得性吃音は、精神的な問題によって引き起こる吃音です。
病気や怪我によって脳の器質的損失によって発症します。
吃音は障害認定されている
吃音は2005年に発達障害支援法に含まれ、吃音に対する社会保障が受けられる様になりました。
精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳を取得することができます。
他の国でも障害として認定されています。
アメリカでは連邦障害者法で認定され、ニュージーランドやドイツでも障害として扱われています。
社会保障の中には就職支援も含まれており、吃音によって面接が上手くいかないという方を支援しています。
保険が効くのか?
一般的な病院での診療・治療には保険が効きます。
日本の吃音診療の第一人者である『ボクは吃音ドクターです。』の著者の菊池良和さんが働く九州大学病院では、吃音の診療を1〜2時間程度行っても、支払いは数百円だと言っています。
自治体によっては、0円のところもあるそうです。
幼児期の吃音について
しゃべり始める2歳頃から吃音の症状はみられます。
幼児全体の5%に吃音の症状がみられると言われていますが、その内の多く(80%程度)は自然回復します。
また吃音発症から12ヶ月以内に、症状が減少するとの報告があります。
子どもがどもり始めてから、一年以内は様子をみることをお勧めします。
特に女の子の場合には、自然回復する確率が高いことから、焦らずに情報収集してみて下さい。
家の近くに吃音診療をしている病院があるか、調べることは非常に良いことです。
当サイトでも全国の吃音診療をしている病院を紹介していますし、ご自身で探すコツについてもお教えしています。
都道府県別 病院のご紹介
都道府県別に詳細ページを作成しています。
「詳細はコチラ」から詳し情報がご覧になれます。
北海道
- 北海道
- 病院数:1
詳細はコチラ
東北
- 青森県
- 病院数:15
詳細はコチラ - 岩手県
- 病院数:1
詳細はコチラ - 宮城県
- 病院数:3
詳細はコチラ - 秋田県
- 病院数:0
詳細はコチラ - 山形県
- 病院数:2
詳細はコチラ - 福島県
- 病院数:2
詳細はコチラ
関東
- 茨城県
- 病院数:7
詳細はコチラ - 栃木県
- 病院数:2
詳細はコチラ - 群馬県
- 病院数:7
詳細はコチラ - 埼玉県
- 病院数:4
詳細はコチラ - 千葉県
- 病院数:5
詳細はコチラ - 東京都
- 病院数:11
詳細はコチラ - 神奈川県
- 病院数:6
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中部
- 新潟県
- 病院数:6
詳細はコチラ - 富山県
- 病院数:2
詳細はコチラ - 石川県
- 病院数:1
詳細はコチラ - 福井県
- 病院数:6
詳細はコチラ - 山梨県
- 病院数:2
詳細はコチラ - 長野県
- 病院数:11
詳細はコチラ - 岐阜県
- 病院数:1
詳細はコチラ - 静岡県
- 病院数:24
詳細はコチラ - 愛知県
- 病院数:9
詳細はコチラ
近畿
- 京都府
- 病院数:5
詳細はコチラ - 大阪府
- 病院数:8
詳細はコチラ - 兵庫県
- 病院数:5
詳細はコチラ - 滋賀県
- 病院数:5
詳細はコチラ - 奈良県
- 病院数:3
詳細はコチラ - 和歌山県
- 病院数:5
詳細はコチラ - 三重県
- 病院数:3
詳細はコチラ
中国
四国
九州
- 福岡県
- 病院数:16
詳細はコチラ - 大分県
- 病院数:6
詳細はコチラ - 佐賀県
- 病院数:1
詳細はコチラ - 長崎県
- 病院数:9
詳細はコチラ - 熊本県
- 病院数:3
詳細はコチラ - 宮崎県
- 病院数:0
詳細はコチラ - 鹿児島県
- 病院数:6
詳細はコチラ - 沖縄県
- 病院数:0
詳細はコチラ
目白大学の都築教授が考案したメンタル・リハーサルの有効率は、実に74%!!
その強化版と言える【大人向け】の吃音改善プログラムが『M.R.M』です。
20年間、吃音に苦しんだ僕が『M.R.M』を実践したみた結果・・・
おすすめの名医をご紹介
メディアなどで登場する吃音関係者は、多くの実績を持ち業界を牽引する立場にあります。
また積極的に吃音に関する啓発活動(書籍などの出版)をしている方は、とても熱い思いを持って取り組まれています。
僕は多くの吃音に関する書籍を読んできましたが、その中に「こんな専門家が近くにいたらよかったのに・・・」と思うことが結構あります。
そんな吃音治療に関するスペシャリストを紹介していきますので、通える範囲に病院があるなら是非ともおすすめしたいです。
九州大学病院の菊池さん【福岡県】
- 画像
- 病院名
- 九州大学病院
- 場所
- 福岡県福岡市東区馬出3-1-1
- メディア
- 僕は吃音ドクターです、吃音の世界など
吃音といえば、まずこの人。
九州大学病院に勤務されてる『吃音ドクター』こと菊池良和さんです。
自身も幼少期から吃音によって悩んでいたといいます。
親にも吃音による悩みを打ち明けることができず、病院にいくことができなかったことをキッカケに、自分が医者になることを決意。
『どもっていてもいいんだよ』というセリフよく使い、この言葉には様々な意味が込められています。
つばさ吃音相談室の羽佐田さん【愛知県】
- 画像
- 病院名
- つばさ吃音相談所
- 場所
- 愛知県名古屋市中村区二ツ橋町4-37
- メディア
- 吃音:伝えられないもどかしさ
2019年に発売された『吃音 伝わらないもどかしさ』をご存知でしょうか?
この書籍では、様々な吃音者に対して約5年間に渡って追跡取材を行ったリアルな吃音の世界が描かれています。
その中の一人に、学生時代に自殺未遂をしてしまうほど重度の吃音に悩む男性が登場します。
その男性は吃音治療を受けたことによって、100人以上もの人前で、流暢にスピーチができるまでに吃音が改善されました。
その吃音治療にあたったのが羽佐田さん、その人になります。
何よりも『吃音を治してあげたい』という、熱い気持ちがすごく印象的な言語聴覚士です。
都筑吃音相談室の都筑さん【愛知県】
- 画像
- 病院名
- 都筑吃音相談所
- 場所
- 愛知県名古屋市東区東桜1-10-29 パークサイドビル栄10階10B号室
- メディア
- 吃音は治せるなど
吃音改善の有効率が74%を有する治療法を開発したのが都筑さんです。
若い頃に言語聴覚士として最前線で吃音治療にあたっていましたが、なかなか改善されない患者さんを見て、従来通りの吃音治療に疑問を持つようになります。
一度、全ての知識をゼロにして、患者さんの声に耳を傾け続け出来上がったのが『年表方式メンタルリハーサル』だといいます。
重度の吃音者ほど効果的であるとされ、成人の吃音者にも有効な治療法です。
また子ども向けの治療法にも精通しています。
診療科について
『風邪なら内科』の様な一般常識が吃音にはありません。
まずその病院自体が、吃音の診療を受け付けているかの確認が必要となり、受け付けているなら何科に行けばいいのか聞きましょう。
下記に吃音に関係する診療科を挙げます。
- 耳鼻咽喉科
- リハビリテーション科
- 小児科
- 精神科
- 診療内科
吃音の治療をしている病院を調べてみると、リハビリテーション科が最も多く、次に耳鼻咽喉科の印象があります。
リハビリテーション科には言語聴覚士が在籍していることが多いのが理由だと思われます。
また子どもの吃音については、小児科でも対応していることも多いです。
耳鼻咽喉科
喉頭・・・話すもととなる音声を生み出す
構音器官・・・発声に関する器官(咽頭、口腔、鼻腔)
言葉に関する病気を対象としているのが耳鼻咽喉科です。
吃音は構音障害の一種であるとの主張もあるほど、吃音の最も身近な診療科であることは間違いありません。
上記で紹介した九州大学病院の菊池先生も耳鼻咽喉科を担当しています。
リハビリテーション科
リハビリテーション科には、理学療法士や作業療法士が在籍することで有名ですが、言葉の専門家である言語聴覚士も在籍している科になります。
吃音改善のトレーニングを受ける為には、医者からの診断が必要になりますが、実際にトレーニングをするのは言語聴覚士の役割になります。
吃音者の受け入れを常時行っているリハビリテーション科では、有効な臨床データに基づいてトレーニングをしています。
まだまだ解明されておらず、確立した治療法が無い吃音ではありますが、徐々に解明されてきた部分もあると言われています。
小児科
子どもの吃音の場合、小児科の先生が対応してくれるケースもあります。
大人の吃音とは違い、80%程度の自然回復が見込める子ども吃音では、本格的なトレーニングよりも、親の対応やリハビリテーションに通うタイングについてのアドバイスが何よりも大切です。
小児科の先生なら、吃音治療をしている先生との横の繋がりも期待できます。
積極的に相談してみましょう。
精神科
獲得性吃音の場合には精神科になります。
また成人の吃音者の40%以上もの高い確率で合併するSAD(社交不安障害)の方についても、精神科で薬物療法による治療が行われています。
精神科は『こころ』の症状や病気を扱う科であり、こころの病気そのものを治療します。
不安、うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴といった症状に対して診療します。
心療内科
精神科同様、獲得性吃音の場合にかかる科です。
様々なストレスにより『からだ』に症状が現れた場合、その症状や病気を診療する科になります。
動悸や下痢、腹痛、喘息などが対象になります。
吃音者の場合には自己紹介や発表の前に、動悸や息切れを起こすことがあり、精神科と比べると心療内科の方が合っているように思います。
ただし精神科も心療内科も、吃音を診療している病院や施設は少ないのが現状です。
吃音の治療について
吃音に有効な治療法というのは確立されておらず、臨床データを基に試行錯誤が繰り返し行われています。
ここでは、一般的によく取り入られている治療法についてご説明します。
言語療法
言語療法とは、言葉を話したり聞いたりする機能に障害がある人に行われるリハビリテーションです。
日常生活を円滑に行うことを目的としています。
言語療法では下記の様な手順に沿って治療が行われます。
1.検査
2.結果からリハビリ計画を立てる
3.個々に合ったリハビリを行う
言語療法では、主に机に座ってコミュニケーションの取り方などを指導しています。
リズム法
メトロノームのリズムに合わせて話すことで、吃音の症状を軽減する治療法です。
初めはゆっくりとしたリズムから、徐々にリズムを早めていき、通常の発話スピードまで上げるていきます。
リズム法による完治を目的とはしておらず、流暢に話せる経験をさせることで、自信をつけることによる脱却を目指します。
DAF(遅延聴覚フィードバック)
これは自分の話した声が、コンマ数秒遅れで聞こえてくる機械を使った治療法です。
DAFの価格は数万円と高価な機械ですが、今ではスマホのアプリで無料〜数千円で手に入れることができます。
私もアプリで検索してみましたが、いくつか見つけることが出来ました。
DAF しゃべれますか?(無料)
DAF +N(1080円)
ただし書籍やインターネットの記事をみてみると、あまり効果が得られないとの書き込みが多いです。
DAFを使ったトレーニングは、言語聴覚士の指導の元、行うことをお勧めします。
環境調整法
『どもっていてもいいんだよ』という言葉をよく使う九州大学病院の菊池先生は、この環境調整が重要だといいます。
特に子どもの吃音については、絶対的にやるべきです。
僕は吃音の子どもを持つ親の義務だと思います。
・家庭環境での対応について
・親戚からの対応について
・学校や習い事での対応について
周りの反応一つで、子ども吃音は大きく症状は変わります。
どもってしまった時に笑われたり、指摘されたり、真似されると重症化する要因になります。
良かれと思ってしているアドバイスも、実は逆効果であることも多々あります。
書籍などで吃音について学ぶだけでも、正しい対応ができるようになります。
”子供”の吃音には【正しい知識】がオススメです
「ゆっくり話しなさい」「落着きなさい」「もう一度、言ってごらん」などのアドバイスをしていませんか?
これ、子供の吃音が【悪化】する原因となります。
子供の吃音には何よりも、親の正しい知識が求められます。
メンタル・リハーサル法
目白大学の都筑澄夫教授が考案した治療法です。
過去にどもってしまったシーンをイメージして、どらずに話せている自分をリハーサルするという治療法ですが、実に7割強の吃音者に効果があると報告されています。
36%・・・吃音が消失
38%・・・吃音が低減
26%・・・効果なし
この治療法の対象者は、成人や中高生の吃音が定着している方であり、改善傾向としては軽度な方よりも重度の方が効果があるとのことです。
書籍はコチラからご購入できます。
リッカムプログラム
シドニー大学で開発された、幼児期の吃音に有効で、オペラント条件付けの原則に基づいた行動療法です。
近年では盛んに研究が進んでおり、評価の高い治療法です。
どもらないで話せたら褒めてあげる、どもってしまったら優しく指摘する。
これを5対1の割合で行っていきます。
家庭でも簡単に取り入れることができるという点において魅力的です。
対象は6歳未満の子どもとなっています。
『リッカム・プログラム』で検索してみると、多くの研究報告や実践方法が掲載されていますので、気になる方は調べてみて下さい。