まさか自分が、こんなに「やってはいけない声かけ」をしているとは思わなかった。
それが本書を読んだ率直な感想です。

「子育てに正解はない」とはよく言われていますが、保育園や幼稚園の先生、学校の教師などではない限り、まともな「子育てに関する教育」を受ける機会はありません。
そのことになんら疑問を感じることなく、新しい命の誕生とともに僕たちは「親」となり子育てを始めるわけですが、そこには大きな落とし穴がいくつもあります。

僕の長女は小学生1年生。
小学校に入学してまだ2ヶ月しか経っていないこともあり、「あれしたの?」「これしたの?」「準備はした?」と朝からママが小うるさく確認します。
長女はそんなママの話しを右から左へと聞き流すと、だんだんママのボリュームも上がってきます。
こんな何処の家庭にもある一連の生活にも、様々なNGポイントが潜みます。

「がみがみと小言を言う」というのは、選択理論心理学による人間関係を破壊する習慣として、島村さんは「子どもぶつかる7つの習慣」として挙げています。
がみがみと小言を言ってしまう根本的な理由は、「子どもは1人では何もできない」とのイメージ(見方)を持ってしまっているからで、これも「無条件子育ての5つの原則」に反します。

長女は最近、とにかく反発が激しく反抗期を迎えているのかと思いましたが、日頃の僕らの言動や行動が引き起こした結果なのだと反省しています。
またうちには長女を凌ぐ、さらにやっかいな双子の男の子がいて、分単位で問題が勃発します。(ちなみに癒し系の三男坊もいます)
長女が上記の様な状態なので、双子の男の子はご察しの通り・・・。

日々、カオスの濃度が濃くなっていき、このままでは家族崩壊が起きてしまう危機感を抱くようになり、子育てについて勉強してみようと本を手に取ると、そこには衝撃の連続に唖然としてしまいました。

本書の著者は島村華子さんという日本におけるプログレッシブ教育(進歩教育、オルタナティブ教育)の代表格であり、自動発達学の研究者として教育理論と研究データに基づいた内容であることから、とても信頼性が高いのが本書の特徴です。

「育児に正解はない」といっても、研究により明らかになっている「良いこと」はどんどん取り入れていくべきですし、「やってはいけないこと」はどんどん減らしていくべきだと思います。
例えば、兄弟や友達に手を出したときに、ついつい親も叩いてしまうことがあると思います。
でも「親が手を出す」ことは絶対にしてはいけないことで、親が手を出すということは暴力を正当化しているメッセージを送っていることになり、さらには世代を越えて引き継がれていくと島村さんは話します。

僕も子どもの度が過ぎる行動があると咄嗟に手がでしまっていましたが、その度に罪悪感に苛まされてきました。
思うと、僕も父から頻繁に叩かれていたことを思い出し、世代を越えて引き継がれていることを身をもって実感しました。

当然と言えば当然で、子育てについて学んでいないということは無意識にも親のやり方を模範してしまうということですから。
間違ったやり方であるのなら、それは自分の世代で正すことが大切だと思います。

是非ともおすすめの一冊です。