日本は法治国家です。吃音者は国から守られており、相手側は合理的配慮が義務(努力義務)付けられています。

これまでイジメられても、受験や就職の面接で不利であっても、職場で理解されなくても、当事者達は泣き寝入りするしかありませんでした。しかし、2016年に施行された『障害者差別解消法』によって、僕たちは合理的配慮を求める申し入れができる”権利”を手に入れました。

当記事では吃音ドクターとして有名な菊池良和さんの最新書籍『吃音の合理的配慮』をご紹介していきます。

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吃音による悩みは一生続く

吃音が発症した幼児の80%は自然回復すると言われていますが、逆に小学生2年生になってもハッキリとどもっている児童については、治る可能性は低いとされています。

僕は小学生の頃、野球のクラブチームに入っていました。他チームとの合同練習があった時に、知らない子から「名前は?」と聞かれ、答えようとしましたが難発がでてしまい、結局無視した形となり相手を不快な気持ちにしたことをよく覚えています。

僕は小学生の時点で、ハッキリと吃音がありましたで、この後も吃音を抱えて生きてきました。

中学生になるとなるべくどもらないようにと、言い換えを多用していました。ただ、目立った失敗体験もなく、当時はすごく安定していたように思います。

僕の吃音がもっとも酷くなったのは高校生の頃です。自己紹介で自分の名前が言えなくなった時期もありました。

当時は甲子園に出場するという夢がありました。実力的には背番号を貰えるほど高くありませんでしたが、練習に対する直向きな部分を買われ、2年生の終わり頃に新チームでのキャプテンに任命されました。しかし甲子園常連校であるチームを引っ張る重圧に押しつぶされ、ついには号令をかけることも出来なくなった僕は、監督にキャプテンから降ろしてもうように話しました。

その年、甲子園出場を果たしましたが、僕は甲子園球場のスタンドでメガホンを持っていました。

僕は夢を諦めたのです。

大学生になると、また落ち着きを取り戻しましたが、言い換えを多用したり、発言する機会を避けるなど、完全なる吃音者となっていました。

社会人になってからも、朝の朝礼で社訓を読み上げるのが苦手だったり、電話で無言になってしまったりと苦労は絶えません。

僕は吃音によってイジメを受けたことはありませんが、真似されたり・笑われるなんてことは日常的にありました。

きっと吃音がある大人は、同じような経験をしてきていると思います。僕は周りに恵まれていたと思うので、もっと過酷だったという人はいっぱいいることでしょう。

でもね、今、吃音が始まったばかりの子にとっては『違った道』を歩めるかもしれません。

情報弱者では損をする

これまで障害は『医学モデル』という考え方に基づいて、個人の課題であるとして支援や配慮を受けるために手帳取得が唯一の手段でした。しかし時代の流れから『社会モデル』が提唱されるようになり、障害は社会の障壁によって作り出されるという考え方から、社会的障壁の除去が図られるようになりました。

つまり、障害は『個人の課題』から『社会の課題』へと変わったのです。

ただポイントとしては『申し入れ』に対して相互の合意ができる配慮となるため、そもそも社会モデルという考え方を知らないと、誰も助けてはくれないということです。

必要なことは『助けてほしい』と声を上げることです。

例えば、小学生の児童が吃音によってイジメを受けていたとします。その児童はこれまで悔しい思いをして過ごすしかありませんでしたが、申し入れをすることによって、学校や先生には合理的配慮をする義務が課せられるということです。

もっと言えば、真似されたり・バカにされるなど、イジメになる前に申し入れすることが望ましいです。

受験や就職の面接においても、この法律はとても効果的です。制限時間がある面接では、言いたいことを言う前に終わってしまうことがないように、1.5倍や2倍程度の時間を貰うこともできるそうです。

さらには既に就職している会社においても、申し入れをすることによって、合理的配慮を受けられるケースもあるといいます。

例えば、電話対応や朝礼での社訓読み上げなどを担当から外してもらうなどが事例として挙げられます。

2016年に施行された障害者差別解消法。既に3年が経っていますが、このような配慮を受けられることを僕は初めて知りました。

きっと多くの当事者はこの事実を知らないまま、堪える日々を過ごしていることと思います。

情報を多く持っている人が得をする時代であることは知っていましたが、本当にその通りであると実感しました。

吃音の合理的配慮がお勧め

どんな合理的配慮が受けられるのか、障害者差別解消法とはどんなものなのか、当事者や吃音がある子どもを持つ親は知っておくべきです。

この内容を分かりやすく解説してくれるのが、我らが吃音ドクターの菊池良和先生です。

九州大学病院にて吃音治療を行なっている一方で、吃音の啓発活動においても力を入れており書籍を書いていたり講演なども行なっている第一人者です。

菊池先生も吃音によって悩んだ一人で、死を考えたこともあると書籍の中で語っています。ですから、当事者の気持ちをよく理解しています。

今年の1月に『吃音の世界』という書籍も出版され、最近の吃音事情について解説されていました。

今回お勧めする書籍は『吃音の合理的配慮』というもので、今吃音によって苦しんでいる人に向けて、こんな生き方もあるんだよ、国があなたを守ってくれるよといった内容が書かれています。

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吃音を意識しなくてよい環境なら、吃音者は成功しやすい

有名人にも吃音がある人は多く存在します。当サイトにおいても吃音がある有名人のエピソードを多数紹介をしています。

僕が調べただけでも100名を超える有名人の名前が挙がり、どの人も業界を牽引するような大物ばかりです。

例えば、

  • 総理大臣の田中角栄
  • 米国副大統領のジョージ・バイデン
  • 天才物理学者のアインシュタイン
  • レアルマドリードのハメス
  • プロゴルファーのタイガー・ウッズ
  • 大女優のマリリン・モンロー
  • アナウンサーには小倉智昭

ね、本当に大物ばかりでしょう?

吃音は強い感受性による副産物だという専門家の見解もあり、吃音者は人よりも感性が豊かなことが多いです。

吃音というハンデから解放された時、持ち前の感性によって吃音者達は成功することが多いと言われています。

何事にもコミュニケーションは不可欠で、いつもネックとなる吃音だけに、吃音者の多くは自分の力を発揮することができていません。でも、合理的な配慮を受けられるようになれば、吃音があることを理解されれば、吃音者にとっては凄く居心地がよく、本来の力を発揮することができるようになるはずです。

是非とも参考にして頂ければと思います。

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