成人にみられる吃音の割合は、およそ1%と言われています。一方で吃音が発症する時期である3歳から5歳においては、その割合が5%と高くなります。つまり20人の子供が集まれば、1人には吃音がみられるという確率になります。
実は、吃音ってすごく身近な存在なんです。
でも吃音が発症した幼児の80%は自然回復し、吃音が残ってしまった人でも大人になるにつれて上手く対処する様になっていきます。気が付けば、あなたの周りから、どもりは姿を消しているのです。
あまり『吃音』とか『どもり』が、身近な障害であると認知されていない背景には、このような吃音の特徴があったからなのです。
いざ自分の子どもに吃音がみられた時、正しい対応ができている親はあまりいません。
インターネットを覗けばサイト毎に違うことが書いてあったり、病院に行きたいけど対応可能な施設がなかったり、書籍を買ってみたものの専門性が強くて理解出来なかったなどの問題があります。
こんな問題を解決してくれるのが、漫画を使った解説で、要点だけをまとめた書籍『子どもの吃音 ママ応援book』です。
時間がないママさんでも、漫画ベースで書かれているこの書籍なら、スラスラ読めてしまいます。僕は30分くらいで読み切ることができました。
要点だけをしっかりまとめているので、子どもへの対応がしっかり分かるようになります。
子どもの吃音を見て見ぬふりをしていませんか?
吃音への対応の仕方は、今と昔で180度変わっていることをご存知でしょうか?
昔:吃音の話題はタブーとする
今:吃音はオープンに接する
昔は、吃音を腫れ物に触るかのように扱われ、差別用語として捉えられていました。これは家族の中でも同様で、なるべく子どもに吃音を意識させまいと、吃音に関する話題はは避けられる傾向にありました。
実際に、僕は4人家族で、父と僕に吃音があります。吃音者が半数を占める家庭なのに、吃音に関する話題は全くありませんでした。
また僕は今でも吃音があり、公衆の面前でどもることはよくありますが、どもりに触れてくる人って、なかなかいません。
話しの流れで「俺は吃音があるから」とか言っても、「え?全然知らなかった」という人がほとんどで、これは半分本当で、半分嘘だと僕は思っています。
中には僕の吃音に反応する人がいるけど、”知らないことにしている”のではないかと思います。
なぜ吃音はタブーとなったのか
吃音に関する話題がタブーとなってしまった発端は、1930年代まで遡ります。
当時、アイオワ大学の心理学者であり、高名な医療言語聴覚士であったウェンデル・ジョンソン氏は、自身の吃音の原因を追求する為、吃音研究を始めました。
研究内容としては、孤児院で暮らす吃音のない子どもを対象に行われ、一方の子ども達には「あなたには吃音がない」と言い続け、一方の子ども達には「あなたには吃音がある」と言い続けるといったものでした。
結果として「あなたには吃音がある」と言い続けられたグループに吃音者が多く出たと結論づけ、『吃音は子どもの口から始まらず、親の耳から始まる』といった報告をしました。
当時の吃音研究の権威であったウェンデル・ジョンソン氏の主張によって、瞬く間に世界中に広まっていきました。
1990年代に行われた双子を対処に行った研究によって、環境的要因は吃音の原因の3割に過ぎない(遺伝的要因が7割)と判明し、ウェンデル・ジョンソン氏の主張は否定されました。
しかし、ウェンデル・ジョンソン氏の主張は10年以上に渡って信じられてきたこともあり、人々の心に深く定着し続けているのが現状です。
まずは吃音に関する正しい知識と、正しい対応というものを知ることが大切なのです。
忙しいママさんにお勧め
ここでお勧めしたいのが、吃音ドクターこと菊池良和さんの書籍『子どもの吃音 ママ応援book』です。
菊池良和さんは日本の吃音治療を支える第一人者で、治療を受け持つ一方で、啓発活動にも力を入れています。
書籍の出版を始め、公演などを数多く行っています。
医師である菊池良和さんの話しは、インターネットで得られる情報とは全く異なり、エビデンス(医学的証明)のある確かな情報となっています。
吃音の正しい知識、吃音の正しい対応が、この書籍で手に入ります。
普通の吃音に関する参考書では、専門家が堅苦しく書いているため、文章がズラズラと並べられており眠たくなります。
子どもが家で騒いでいると、全く頭に入ってこないでしょう。
『子どもの吃音 ママ応援book』では、イラストをふんだんに使用した構成となっているため、すごく理解しやすく、短時間で完結します。
家事に育児に仕事に、現代の忙しいママさんにお勧めの一冊です。
もう、迷うことはありません
子どもがどもった時、もうオドオドする必要はありません。
・子どもが酷くどもっている時
・子どもから訊ねられた時
・学校、習い事での対応
場面場面でアドバイスが書かれているので、もう悩む必要がないのです。
僕が、当書籍の中ですごく心に残ったのは、『子どもは忘れやすく、強い』ということです。
吃音があると周りから真似されたり、バカにされたりすることがあります。その場では泣いてしまうものの、次の日になると忘れていることが多いとか。
実例として書かれていたのが、真似されて泣かされた次の日に、病院に連れて行くと、先生から「真似されたことある?」という質問に「真似されてない」と真顔で言う子どもが結構いるのだそうです。
確かに、僕も高校生の頃の吃音に関する苦い思い出は、色濃く残っているものの、幼少期の思い出ってあまりないんですよね。
真似されている場面を目撃してしまうと、親としては”なんとかしなければ”と慌ててしまう気持ちは分かります。
でも、あなたのお子さんは”強い”ということを頭に入れて、冷静な対応が求められると思います。
幼児の吃音には波があり、酷くどもる時と、そうでない時が交互にやってきます。そんな時、何も知識がなけば悪循環に陥ってしまいますが、しっかりと準備をしておけば好循環を作ることができるといいます。
一時、吃音が無くなったからといって安心するのではなく、好循環を作れる環境を作っておくことをお勧めします。