まるで思春期に戻ったような多感をとり戻し、7000冊の本が自分の体を流れていく。
一つ一つの大切な出会いにも、思い出(記憶)にするのではなく写真(記録)に残せば、それは一生消えることのない財産だ。

【言左衛門の要約】

遅読家のための読書術」のターゲットは読書に苦手意識があるものの、「読書をしたい」と望んでいる人です。
また「読むのが遅い人」や「本の内容をすぐに忘れてしまう人」にもお勧めできます。

著者はこの本のゴールを「音楽を聴くように本が読める」に設定しています。
実際に本を読んだ僕の感想としては、本の読み方そのものを教えられたように感じ、「本を読む」というシンプルなことであっても、とても奥が深いことを痛感しました。

僕は本を読むのは好きだけれど、「読むのがとても遅い」と感じていました。
このサイトにも多くのブックレビューを書いてきましたが、なかなか記事が溜まっていきません。
またブックレビューを書いている理由は”僕と同じ悩みを持った人に参考になればと願う”というのは建前で、なによりも僕自身が「本の内容をすぐに忘れてしまう」ためというのが本音です。

僕がこの本に求めているものは
・速読ができるようになること
・本の内容を忘れないようにすること
でした。

遅読家のための読書術」では、速読ではなく「正しい読み流し」という表現を使っています。
音楽を聴くように本を読むフロー・リーディングで、「心に残る」小さなかけらを多くの本から集めようというのが著者である印南敦史さんの狙いで、「じっくり読み込んでも忘れることは忘れるもの」という言葉はとても印象的でした。

正しい読み流しの一つに、「小見出し単位でどんどん読み飛ばそう」という提案は、僕にとっては衝撃のテクニックでした。
僕はこれまで、1ページ目から最後のページまで順を追って読み進めていました。(当たり前といえば当たり前ですが・・・)
しかし、小見出しごとに読む順番は「序盤と終盤の数行だけ」で、興味をそそられれば中盤も読んでみるといった内容でした。
これにはちょっとしたルールもあり、そうしてよいだけの理由がしっかりと「遅読家のための読書術」の中で語られています。

僕はこのテクニックによって、本をこれまでの数倍のスピードで読むことができるようになりました。

また「本の内容をすぐ忘れてしまう」という僕のもう一つの悩みについても解決の糸口を見つけました。
印南敦史さんは「読書は呼吸と同じ」で、インプットとアウトプットは表裏一体であると話します。
つまり、本を読んだら(息を吸ったら)アウトプット(吐き出す)することが重要であるということです。

ん?

僕はアウトプットとしてブックレビューを書いているけど、あまり記憶としては残ってないぞ?

というフツフツとした感情が芽生えてきましたが、本を最後まで読んでみれば答えは簡単で、「やり方が違っていた」だけの話し。
本の情報をインプットして、それを正しくアウトプットする方法についても「遅読家のための読書術」の中でしっかり教えてくれます。
アウトプットと聞いて「めんどくさい」と思う人といるかもしれませんが、その心配には及びません。
僕の小学生1年の娘にだって出来るレベルの簡単な「あること」をするだけなのですから。

印南敦史さんは、僕と同じように「遅読家」だと思い込んでいる人達の多くは、その人の思い込みで生まれた幻想であると話します。
まずは「たくさん本を読む」そのプロセスを楽しもうと呼びかけています。