子ども達に「何が残せるか」という、長きに渡る自問への回答が見つかった。
「日本の読書文化」を教え、自分の蔵書を受け渡すことだ。

【言左衛門の要約】

本書との出会いは、僕にとってとても意味のあるものとなりました。

僕には4人の子どもがいます。
小学1年生の女の子、年少さんの双子の男の子、その下にもう一人の男の子。
制御のない「自我」が4つも集まると、それはそれは大変で、分単位でケンカや問題が発生します。
上の子もようやく小学校に入学しましたが、まだまだ手がかかります。

年少さんくらいになると、徐々に習い事を始めるお友達もちらほら出てきて、小学校に入学する頃には夢中になって取組むものが、一つや二つあるものです。
僕の姉の子どもはダンスに夢中で、みるみる上達していくのが手に取るように分かります。

一方で僕の家では、日々の忙しさから習い事に通わせる余裕がありません。
「いったい僕には子どもにどんなことを教えられ、どんなことを残せるのだろう。」と自問することが増えました。

そんな時に出会ったのが遠越段さんの「知識を自分のものにする最強の読書」でした。

まず「まえがき」から惹き込まれました。
遠越さんは「日本に生まれてよかった」と話します。
日本には読みたい本がいくらでもあり、これは世界から見たら驚くほど恵まれているのだとか。
思想から科学まで、あらゆるものが日本語で学び考えられるため、日本人には馴染みのある「ノーベル賞」が続出するのも、欧米語圏以外の国で唯一といえるそうです。
日本の強みは「文学」にあるのです。

続く1章では「多読の技術」、2章では「速読の技術」、3章では「精読の技術」、4章では「手帳・ノートの技術」と読書に関する書籍ではお馴染みの流れ。
どれもテクニックとして、とても参考になるものでしたが、僕が感銘を受けたのはそれらの概念的な部分。読書に関する哲学とも言えるような「考え方」に、とても共感し学ぶべきことが多いと感じました。

遠越さんは自身の蔵書の整理をする際、大量の本を手放したことを本書の中で「失敗体験」として語っています。
そんな失敗から、蔵書を以下のように表現しています。

昔から自分自身がそろえている蔵書は、打ち出の小槌のようにさまざまなアイディアや反省を私にもたらしてくれるし、書きなぐったノートはそれ以上の宝物となる。ぜひノートを残し、蔵書を持つ生活を楽しんでもらいたい。そしてこの世にあなたが生きた証、活躍した証をたくさん残して欲しい。

この一節を読んだ時、僕の長い葛藤はまるで霧が晴れたように「これだ」と思えるようになりました。

冒頭の【言左衛門の要約】は、そんな思いから綴りました。

読書が好きな人が読めば、もっと読書が好きになります。
読書がなかなか進まない人が読めば、きっと読書が好きになります。

とてもおすすめな一冊です。