一般的に、吃音は原因が解明されていない障害であるとされています。

 

しかし吃音の歴史は実に4000年も前から存在し、多くの研究が繰り返されてきました。
我が日本においても、1903年に伊澤修二が『楽石社』の創立を境に数々の研究が行われました。

これだけ歴史ある分野なので、少しずつ解明されてきた事もあります。
ここでは、遺伝的要因として解明されたいくつかの研究成果についてご紹介していきます。

 

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家族研究


一時的な吃音は一つの遺伝子が関与し、この遺伝子が他の要因と組み合さうと持続する可能性がある

発吃時の男女比は2(男):1(女)以下であるが、小学校低学年になると3(男):1(女)になる

自然回復が見込まれる4つの要因は ①女性であること ②吃音がある親族がいないこと、または回復していること ③3歳前に発吃していること ④言語・音韻の能力、非言語的能力が高いこと

 

双生児研究


吃音の原因としては7(遺伝子要因):3(環境要因)となる

 

養子研究


養子先や血縁親族に吃音のある人がいる確率が、偶然よりも高い(30.8%)
(吃音は言語圏を問わず、約1%の人に現れる症状)

 

遺伝子研究


吃音が伝達される染色体には、1・13・16・18番目である可能性がある

FOXP2(発話と言語能力がピークを迎えるまでの発達過程に関与する遺伝子)を特定

GNPTAB遺伝子の異常による脳の構造や機能変化が要因として考えられる

 

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家族研究

1964年のイギリスで行われた家族研究では、80名の吃音者の家系を調査し、以下の成果が得られています。

  1. 吃音のある親族が多い
  2. 男児の方が吃音が持続する
  3. 女児に吃音がある場合、親族により吃音者がいる

 

1977年にアメリカで行われた家族研究では、イギリスで行われた研究も加えた遺伝パターンを予測する統計的モデルを開発して調査を行っています。
その結果、上記した2・3と同様の結果となり、再現性があり信頼がおける研究データであることが分かりました。

 

1993年に行われた家族研究では、発吃して間もない69人の吃音者を対象に研究が行われました。
その結果、上記した①と同様の結果は得られたものの、②や③とは異なった結果となりました。
さらに1997年にも発吃して間もない66人の子どもを数年間に渡って調査する研究が行われました。

 

吃音が持続した子どもの男女比は7(男):1(女)であり、回復した子どもは2(男):1(女)であることが分かりました。
また吃音が持続した子どもの親族には、吃音が持続した吃音者がいる場合が多いことが分かった。

 

これらの研究成果からアメリカのヤイリ氏は、回復を予測する要因として下記の3点を挙げています。

 

  • 音韻、言語、非言語的スキルの得点が高いこと
  • 吃音が回復した親族がいること
  • 発吃が年齢的に早期であること

 

双生児研究

一卵性双生児は遺伝子的に完全一致しており、二卵性双生児では50%が一致しています。
双方を比較することによって、遺伝的要因がどの程度吃音に影響を与えているのかが分かります。
しかし、この研究においては吃音が遺伝されるという仮説を支持するものの、何が遺伝しているのかまでは分かりません。

 

1991年にオーストラリアのギャビン・アンドリューらが3810組の双子を対象に研究を行いました。

一卵性の双子が1800組あり、二人とも吃音だったのは10組、一人だけ吃音であったのは40組。
二卵性の双子が2010組あり、二人とも吃音だったのは3組、一人だけ吃音だったのは82組。
上記内容を統計解析すると、体質(DNA)の関与が約7割、体質以外が約3割であるとの結果を報告しています。

 

2000年に1567組の双子を対象に、スーザン・フェルセンフェドルらが同様の調査を実施しています。
その際にも、上記と同じような結果であったことから、再現性があり信頼できる研究であったとされています。

 

養子研究

1995年にブラッドスタインが行った調査では、13人の養子となった吃音者にインタビューを行っています。
このうちの4名に養子先の家族に吃音者がおり、これは偶然に予想されるよりも高い確率であることが分かった。
これは遺伝だけでなく、環境的要因にも吃音への影響があるということになります。

 

また1997年に行われたフェルセンフェルドの研究では、養子先の家族と血縁のある親族の両方のデータを比較しています。
吃音になる確率として高いのは、僅かに血縁のある家族であるとの結果が得られています。
このことから発吃に関する影響力として、環境的要因よりも遺伝的要因であることが示唆されています。

 

遺伝子研究

1997に行われたデニス・ドレーナの遺伝子研究では、アフリカのカメルーンに住む100人の家族構成のうち42人に吃音がある家族において調査を行いました。
それにより18番目の染色体に吃音と関連する複数の遺伝子があるとの成果を得られています。

 

2000年にヤイリらが行った遺伝子研究では、同じ地域の人以外とは結婚しないサウスダコタのフッター派の人達を対象に調査を行いました。
同種の遺伝子だけで構成されている貴重なデータより、1番と13番と16番の染色体が吃音に影響を与えている可能性があるとみています。

 

2001年にはイギリスで行われた研究にて、発達性発話失行(言語音を連続して出すことができない)がある人が多数いる家族を研究し、発話と言語能力がピークを迎えるまでの発達過程に関与する遺伝子、FOXP2を特定しました。

 

また2010年にアメリカのチャンス・カンが行った研究では、GNPTAB遺伝子の異常による脳の構造や機能変化が影響を与えていると報告しています。
近親者に吃音者が多くいるパキスタン人の家族のDNAをサンプリングし、GNPTABと呼ばれる遺伝子の突然変異が吃音の発症に関係あると報告されています。
当遺伝子の異常により、細胞内の老廃物処理を担う『リソソーム』の異常を促し、脳の白質形成が異常をきたすことにより、脳の構造や機能変化が発生し吃音の原因となると結論付けています。

 

終わりに

吃音の原因として遺伝的要因に注目して、記事を作成しました。
これまでの研究によって、重要な発見が多くあることがお分かり頂けたと思います。

 

中でも双子研究で得られた7(遺伝子要因):3(環境要因)の比率については、非常に重要な発見だったと個人的には感じます。

 

また遺伝子研究においても、吃音に関与する遺伝子を特定することに成功しています。
今後、さらなる原因の解明が成されれば、吃音は「治る障害」だと言われる日も来ることでしょう。

 

次の記事では、脳の構造における吃音の原因について記載します。
吃音がある人と吃音がない人では、脳の構造や機能に差があることが分かっています。
続きは↓コチラからご覧下さい。

吃音の原因を徹底調査(1)~脳の構造・機能に関する要因~

吃音の原因を徹底調査(2)~遺伝的要因~

吃音の原因を徹底調査(3)~反応行動に関する要因~

 

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