2019年4月14日、11年ぶりとなるメジャー選手権での優勝を飾ったタイガー・ウッズ氏。
同年5月6日にはドナルド・トランプ氏からホワイトハウスに招かれ『大統領自由勲章』が受章されました。
優勝セレモニーでは「マスターズ優勝というカムバックができたことで、息子が喜んでくれ、父親としての役割を果たせた。」とスピーチで胸を張りました。
タイガー・ウッズ氏は、1996年にプロ転向と同時に慈善活動として、父であるアール・ウッズ氏と共同で『タイガー・ウッズ・ファウンデーション』という非営利公益法人を設立しています。また2006年には30億円もの費用を投じ、学習センター『タイガー・ウッズ・ラーニング・センター』が開校しました。ウッズ氏の積年の目標であり、夢の一つだったと語っています。
タイガー・ウッズ氏の成功の秘訣は、動機付けが自分ではない”誰かのため”であるということ。そして誰かの役に立つには、自分自身がトッププレイヤーであり続けることが必要であることを知っているのでしょう。
今回のマスターズ優勝で、トータル15回のメジャー選手権を制覇し、1960年代から1990年代にかけて活躍したジャック・ニクラスの18回に次いで、歴代2位の成績。「アメリカ史上最も成功した現役で活躍するスポーツ選手」の称号を獲得したタイガー・ウッズ氏。
これからの活躍にまだまだ期待ができそうです。
タイガー・ウッズと吃音について
吃音がある有名人としてタイガー・ウッズの名はよく挙がります。これは2006年に放映された『60ミニッツ』で「口と脳の間で、言葉がどこかに消えてしまうんだ。そのために随分、苦労をしたよ。」と告白したことで認知されるようになりました。また独特な克服法により改善されたとしてメディアでも大きく取り上げられました。その独特な克服法というのが『犬との対話』です。
2015年には吃音によっていじめを受け自殺を考えている少年に手紙を送ったことが報じられました。その中で少年にタイガー・ウッズ氏は「僕も子どものころは吃音で、犬が眠りに落ちるまで話しかけたものだ。2年間にわたり、それを克服するための授業も受けて、ようやく止まったんだ」とメッセージを送りました。
“犬が眠りに落ちるまで対話した”という話しがとても印象的。一方でセラピーを受けていたという事実も同時に語っています。
そのセラピーで用いられた治療法はスーザンディートリッヒ博士が推進する『テンションコントロール療法』というものであったと言われています。テンションコントロール療法は自分を客観視し、どもった際に1〜10段階の評価を付けて自身をモニタリングするといった吃音克服法です。
タイガー・ウッズ成功の根源には吃音があった
2002年に発売された『How I Play Golf』にはタイガー・ウッズ氏が培ってきたゴルフのテクニックが収録されています。正確で飛距離のあるドライバーショットからアプローチ、ゲームマネジメントやメンタルタフネスまで強さの真髄が集結したレッスン書となっています。
その中に『緊張』と『グリップ』についての説明がなされており、グリップの緊張をモニタリングし、1〜10段階の評価を付けてコントロールすることへの重要性について述べています。これは吃音のセラピーに用いられたテンションコントロール療法を応用したテクニックであることは一目瞭然です。
吃音という苦悩があったからこそ、テンションコントロール療法との出会いがあり、療法からテクニックに変える発想によって世界のトッププレイヤーとなったタイガー・ウッズ。わらしべ長者ではないが、成功を成し遂げるまでの道を辿れば、始まりは思いもよらない事から始まっているのでしょう。